アルカリ電解水と酸性電解水の違いとは?特徴を解説

洗剤売り場やドラッグストアで、「アルカリ電解水」という言葉を見かける機会が増えてきました。

「電解水って聞くけど、普通の洗剤と何が違うんだろう」「アルカリ性と酸性、両方あるみたいだけど使い分け方が分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

実は電解水にはアルカリ電解水酸性電解水の2種類があり、それぞれ性質も得意な用途もまったく異なります。

さらにアルカリ電解水の中にも、家庭用と業務用という違いが存在することをご存知でしょうか。

この記事では、電解水の基本的な仕組みから、アルカリ電解水と酸性電解水の違い、家庭用と業務用のpH値の差、そして実際にお掃除で活躍する場面まで、順を追って詳しく解説します。

読み終える頃には、ご家庭の掃除にどの電解水を選べばよいか、迷わず判断できるようになるはずです。

それでは、さっそく見ていきましょう。

電解水とは?

まずは、電解水がどのようなものなのかを理解するところから始めましょう。

仕組みを知ることで、この後に紹介する違いもすんなりと頭に入ってくるはずです。

電解水の基本的な仕組み

電解水とは、水に電気分解という処理を施して作られる水溶液のことです。

普通の水だけでは電気が通りにくいため、多くの場合、塩などを加えて電気分解を促進させます。

この電気分解によって生まれるのが、電解水の正体です。

水の分子は「H2O」という形をしていますが、電気分解を行うと、水素イオン(H⁺)と水酸化物イオン(OH⁻)に分かれます。

マイナス極の槽では、水分子からプラスイオンのH⁺が引き剥がされ、OH⁻が多く存在する水になります。

一方、プラス極の槽では、水分子からマイナスイオンが引き剥がされ、H⁺が多く存在する水になります。

このように、電気分解の過程で性質の異なる2種類の水が同時に生成されるというのが、電解水の基本的な仕組みです。

なお液体の性質は、「pH(ペーハー)」という水素イオン濃度を示す単位で表されます。

pH7を基準とし、数値が低いほど酸性、数値が高いほどアルカリ性です。

そして興味深いことに、pHの数値が1違うだけで、その液体の酸性度やアルカリ性度は約10倍も異なるとされています。

つまり、わずかなpH値の差が、洗浄力や除菌効果に大きな違いを生み出すというわけです。

電解水の種類(酸性・アルカリ性)

電解水は、電気分解の過程で生まれる場所によって、大きく2つの種類に分けられます。

種類 生成される極 主な性質
アルカリ電解水 マイナス極 OH⁻が多く、アルカリ性を示す
酸性電解水 プラス極 H⁺が多く、酸性を示す

この2つは同じ「電解水」という名前でありながら、性質も用途もまったく異なります。

次の章では、それぞれの特徴と違いについて、さらに詳しく見ていきましょう。

酸性電解水とアルカリ電解水の違い

電解水と一口にいっても、酸性電解水とアルカリ電解水では、得意なことが大きく異なります。

掃除に使うべきなのはどちらなのか、性質を比較しながら確認していきましょう。

酸性電解水の性質と効果

酸性電解水は、主に殺菌消毒用として使われている液体です。

具体的には、食品工場の衛生管理における殺菌処理や、歯科医院・クリニックでの器具の洗浄、うがい用の水などに利用されています。

多くは業務用として活用されており、家庭用として市販されているケースはほとんどありません。

その理由の1つが、pH値が安定しにくく、長期間の保存が難しいという性質です。

そのため、家庭用の洗剤ボトルのような容器に入れて保管することは少なく、工場や歯科医院では専用の電解水生成機を導入し、その都度使う分だけを生成するという運用が一般的です。

ここで押さえておきたいのが、酸性電解水には殺菌効果はあるものの、洗浄力はほとんどないという点です。

一時的に殺菌ができたとしても、対象物に汚れそのものが残っていれば、時間の経過とともに菌が再び発生しやすくなってしまいます。

つまり酸性電解水は、「汚れを落とす」ためのアイテムではなく、あくまでも「殺菌する」ためのアイテムだと理解しておくとよいでしょう。

アルカリ電解水の性質と効果

一方のアルカリ電解水は、タンパク質や油脂を分解するという特徴を持っています。

そのため、お掃除用として業務用・家庭用の両方の商品が、スーパーやドラッグストア、100円ショップなどで数多く販売されています。

アルカリ電解水が汚れを落とす仕組みは、少し化学的な話になりますが、次のように説明できます。

アルカリ電解水に含まれるOH⁻は、本来であれば水素イオンと結びついて安定した水分子に戻ろうとする性質を持っています。

そこに、プラスの電気(陽イオン)を帯びた酸性の汚れが近づくと、OH⁻はその汚れと結びつき、安定を取り戻そうとします。

この働きによって、汚れが対象物から浮き上がり、拭き取りやすくなるというわけです。

なお、油汚れには性質の異なる複数の種類があることも知っておくと役立ちます。

油汚れの種類 性質 具体例
脂肪酸 酸性 手垢、皮脂汚れ
動植物油脂 中性 キッチンの油汚れ、たばこのヤニ
鉱油 中性 自転車のチェーンオイル、工具のグリース

このうち、アルカリ電解水の中和作用によってしっかり落とせるのは、酸性の脂肪酸です。

動植物油脂については中和ではなく、乳化や分解という働きによって落とすことができます。

一方で鉱油については、アルカリ電解水では乳化させることが難しく、落としにくい汚れとされています。

アルカリ電解水には、洗剤に含まれることが多い界面活性剤が入っていないという特徴もあります。

そのため使用後に洗剤成分が残らず、すすぎや水拭きの必要がないという手軽さも人気の理由です。

アルカリ電解水のメリット

アルカリ電解水を使う最大のメリットは、使える場所や対象となる汚れの幅が広いという点です。

キッチンの油汚れ、手垢、食べこぼし、フローリングの皮脂汚れなど、日常生活で発生しやすい酸性の汚れに効果を発揮します。

また、pH値が12.5以上のアルカリ電解水であれば、多くの菌を不活化することも報告されています。

インフルエンザウイルスの不活化や、アルコールでは対応が難しいとされるノロウイルス(検査では代替のネコカリシウイルスを用いて確認されるケースが多いです)の不活化にも効果が期待できるとされており、サルモネラ菌やO-157といった食中毒の原因菌に対しても一定の除菌効果があるという報告があります。

なお、ウイルスは細菌とは異なる存在のため、厳密には「除菌」ではなく「不活化」「失活」という言葉が使われます。

さらに、成分がほぼ水であるため、二度拭きが不要で掃除時間を短縮できるという実用面のメリットも見逃せません。

  • 使える場所・対象汚れが幅広い
  • 二度拭きが不要
  • 洗剤成分が残らず人や環境にやさしい
  • 低刺激・無臭
  • pH12.5以上であれば、菌の除菌やウイルスの不活化効果も期待できる

まとめると、アルカリ電解水は強力な洗浄力と一定の除菌・ウイルス不活化効果を兼ね備えながら、扱いやすさにも優れた洗浄液だといえるでしょう。

アルカリ電解水のデメリット

万能に思えるアルカリ電解水ですが、当然デメリットも存在します。

最大のデメリットは、水分に弱い素材や、アルカリ性に反応してしまう素材には使用できないという点です。

具体的には、以下のような素材が挙げられます。

使用を避けたい素材 理由
アルミニウム、真鍮、貴金属 アルカリ性に反応し、腐食や変色の原因になる
無垢材、白木、漆器 水分が染み込み、シミになる恐れがある
皮革類、絹製品 水分に弱く、変質しやすい
ニス塗りの家具、自動車の塗装面 コーティングが剥がれる可能性がある

また、アルカリ電解水は時間の経過とともに成分が中性、つまり普通の水に近づいていく性質があります。

そのため、開封後は洗浄効果が徐々に落ちていくことも覚えておきましょう。

もう1つ意外なポイントとして、アルカリ電解水は泡立ちがありません。

泡立たない分「掃除した感」が得にくいと感じるかもしれませんが、その代わりすすぎが簡単で、時短につながるという側面もあります。

家庭用と業務用アルカリ電解水の違い

同じアルカリ電解水でも、家庭用と業務用では性質に差があります。

その違いを理解しておくことで、用途に合った製品選びができるようになります。

家庭用アルカリ電解水の特徴

市販されているアルカリ電解水の多くは、pH11から12.5程度に調整されているといわれています。

なお、このpH値の区分はあくまでも1つの目安です。

情報源によっては「一般的な洗浄用はpH10〜12程度」と紹介されているケースもあり、明確な業界統一基準があるわけではないという点は理解しておきましょう。

このくらいのpH値であれば、比較的簡単に薬品や化学品を添加して生成できるため、100円ショップなどでも手軽に購入することができます。

pH値が安定しにくい点への注意

家庭用アルカリ電解水で注意しておきたいのが、pH値が安定しにくいという性質です。

アルカリ電解水のOH⁻は、もともと水分子に戻ろうとする不安定な状態にあります。

そのため、購入してから時間が経つと徐々にpH値が下がり、中性に近づいていくことがあります。

「久しぶりに使ったら、以前ほど汚れが落ちなくなっていた」というケースは、この中性化が原因かもしれません。

安価に手に入る点は魅力ですが、pH値の安定性が検証されていない商品も存在するという点は、頭の片隅に置いておくとよいでしょう。

業務用アルカリ電解水の特徴

業務用、あるいは業務用水準として販売されているアルカリ電解水は、pH12.6から13以上と、家庭用に比べて高い数値になっているとされています(こちらも販売元による目安の1つとしてご参考ください)。

pH値が高くなるほど、汚れを落とす洗浄力も強くなる傾向があります。

しかも、アルカリ電解水のpH値と洗浄力の関係は直線的ではなく、わずかなpH値の違いで洗浄力が大きく変わるという特徴があります。

pHは高いが不純物が含まれる場合がある点

業務用アルカリ電解水のpH値を高めるためには、水酸化ナトリウムや苛性ソーダといった薬品が添加されることが多くあります。

そのため、生成方法によってはアルカリ成分が残留したり、不純物が多く含まれてしまったりする場合があるという点には注意が必要です。

「pHが高ければ高いほど良い」と単純に考えるのではなく、どのような製法で作られているかにも目を向けることが、賢い選び方につながります。

アルカリ電解水が効果を発揮する掃除場所

ここからは、実際にアルカリ電解水がどのような場所の掃除に活躍するのかを、具体的に見ていきましょう。

フローリング・家具

フローリングには、ホコリや足の裏の皮脂汚れ、食べ物・飲み物の汚れ、調理中に飛び散った油汚れなど、さまざまな汚れが付着しています。

掃除の際は、まずドライワイパーや掃除機でホコリなど乾いた汚れを取り除いてから、アルカリ電解水を使うのが効率的です。

タオルや万能クロスにアルカリ電解水をスプレーし、床を拭き取るだけで、洗剤成分が残らないため二度拭きは不要です。

日常的に除菌もしたい場合は、pH12.5以上のアルカリ電解水を使うとよいでしょう。

ただし、フローリングの中でも無垢材は変色する恐れがあるため、アルカリ電解水の使用は避けてください。

机やテーブルの汚れにも同様の方法が使えます。

手垢や食べこぼし、ホコリが気になる部分にスプレーして拭き取るだけで、手が頻繁に触れる場所を清潔に保つことができます。

キッチンの油汚れ

アルカリ電解水は、油汚れの掃除に特に効果を発揮します。

油汚れが気になる場所にスプレーするだけで、汚れを拭き取りやすくなります。

効率よく油汚れを落とすコツは、汚れが温かい状態のときに掃除をすることです。

ガスコンロであれば、料理が終わった直後、やけどをしない程度の温度になったタイミングでアルカリ電解水をスプレーすると、汚れが落ちやすくなります。

キッチンの壁やカウンターに付いた頑固な油汚れには、アルカリ電解水を吹きかけた上からラップを貼り、ヘアドライヤーの温風を当てる方法も効果的です。

液だれが気になる場合は、先にキッチンペーパーを壁に当ててからスプレーし、その上にラップを貼るとよいでしょう。

五徳など取り外せるパーツであれば、袋に入れてアルカリ電解水とお湯を加え、浸け置きする方法もおすすめです。

浴室・カビ

浴室の掃除でアルカリ電解水を活用する際に、1つ知っておきたい重要なポイントがあります。

それは、アルカリ電解水そのものにカビ菌を死滅させたり、繁殖を抑制したりする効果はないという点です。

カビの除去には、塩素系の洗剤の方が効果的とされています。

ただし、カビは油脂やタンパク質などのさまざまな汚れを栄養源として発生・繁殖する性質を持っています。

そのため、カビの栄養源となる皮脂汚れや水アカ、ぬめりをアルカリ電解水で日常的に取り除いておくことは、カビの発生を防ぐ予防策として有効です。

浴室の湯アカや皮脂汚れ、ぬめりが気になる箇所には、アルカリ電解水を使ったこすり洗いを取り入れてみましょう。

日頃からこまめに掃除を続けることで、カビが発生しにくい環境を保つことにつながります。

家電(エアコン・換気扇・電子レンジ)

家電製品の掃除にも、アルカリ電解水は幅広く活用できます。

エアコンのフィルター掃除では、まず内側からシャワーで細かいホコリを落とし、アルカリ電解水をかけて5分から10分ほど放置します。

そのあと歯ブラシなどで優しくこすり洗いをすれば、こびりついた油汚れも落としやすくなります。

洗浄後は水でしっかりすすぎ、タオルドライや日陰干しで完全に乾かしてから元の位置に戻しましょう。

換気扇フィルターの掃除も、基本的な手順は似ています。

キッチンペーパーをフィルターに被せてアルカリ電解水をスプレーし、10分程度パックした後、ブラシで油汚れをこすり落とします。

電子レンジの外側は、直接スプレーすると内部に水分が入り故障の原因になるため、布にアルカリ電解水を吹きかけてから拭き掃除をします。

庫内の場合は、キッチンペーパーを入れた耐熱皿にアルカリ電解水を注ぎ、電子レンジで加熱することで蒸気が庫内に広がり、汚れが浮き上がって拭き取りやすくなります。

このほか、まな板やリモコン、おもちゃ、下駄箱、ドアノブといった日用品の掃除にも応用できるため、1本用意しておくと家中の掃除に活躍するアイテムといえるでしょう。

アルカリ電解水を使ううえでの注意点

便利なアルカリ電解水ですが、使用する際にはいくつかの注意点があります。

まず、アルカリ電解水は水が主成分とはいえ、目や口の粘膜に入ると危険な場合があるため注意が必要です。

高い場所へのスプレーや、狭い空間での使用時には、ゴーグルなどを着用して目に入らないようにしましょう。

また、人間の皮膚は酸性のタンパク質でできているため、強いアルカリ性であるアルカリ電解水に長時間触れると、肌荒れの原因になることがあります。

使用の際はゴム手袋を着用し、直接皮膚に付着しないよう気をつけてください。

保管方法にも工夫が必要です。

アルカリ電解水は直射日光の当たる場所や高温になる場所に置くと、中性化が進み洗浄効果が低下しやすくなります。

冷暗所で保管し、できるだけ早めに使い切ることをおすすめします。

なお、アルカリ電解水は専用の電気分解装置を使って生成されるため、基本的にご家庭で自作することはできません。

重曹やセスキ炭酸ソーダを使えば、アルカリ性の洗浄液を自作することは可能ですが、アルカリ電解水と比べると洗浄力はやや控えめになります。

最後に、これまで紹介してきた使用できない素材を改めて一覧にまとめておきます。

分類 具体例
金属・貴金属 アルミニウム、真鍮、金、白金、銅
木材・自然素材 無垢材、白木、漆器
布・皮革 皮革類、絹製品
コーティング製品 ニス塗り家具、自動車の塗装部分、眼鏡

「水でできているから安心」というイメージだけで判断せず、掃除をする前に対象の素材を確認する習慣をつけておきましょう。

まとめ

今回は、電解水の基本的な仕組みから、アルカリ電解水と酸性電解水の違い、家庭用と業務用のpH値の差、実際の活用方法までを詳しく解説してきました。

改めて、記事の内容を振り返ってみましょう。

  • 電解水は電気分解によって作られ、マイナス極からアルカリ電解水、プラス極から酸性電解水が生成される
  • 酸性電解水は殺菌用で洗浄力はほとんどなく、業務用として使われることが多い
  • アルカリ電解水はタンパク質や油脂を分解し、洗浄と一定の除菌・ウイルス不活化効果を兼ね備えている
  • 家庭用はpH11〜12.5程度、業務用はpH12.6〜13以上が1つの目安とされ(情報源により幅があります)、業務用は不純物が残る場合もある
  • カビへの直接的な効果はなく、栄養源となる汚れを除去することで予防につながる
  • アルミや無垢材、皮革製品など使用できない素材があるため、事前の確認が重要

アルカリ電解水と酸性電解水は、名前は似ていてもまったく異なる性質を持つ液体です。

それぞれの違いと特性を正しく理解しておくことで、無駄なく、そして安全に掃除に取り入れることができます。

ご家庭の掃除アイテムを見直すきっかけとして、ぜひこの記事の内容を役立ててみてください。

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