アルカリ電解水のデメリット5選|注意点と正しい使い方

薬局や100円ショップで見かけることが増えた「アルカリ電解水」。 環境にやさしく、油汚れに強いと話題ですが、**「本当に安全なの?」「デメリットはないの?」**と気になっている方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、アルカリ電解水には使えない素材がある落とせない汚れがあるなど、知っておくべきデメリットが存在します。 これらを理解せずに使ってしまうと、大切な家具や車を傷めてしまう可能性があるのです。

この記事では、アルカリ電解水のデメリット5選を詳しく解説したうえで、正しい使い方や注意点をご紹介します。 重曹やセスキ炭酸ソーダとの違いについても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。

アルカリ電解水とは?基本的な仕組みを解説


アルカリ電解水のデメリットを理解するためには、まず基本的な仕組みを知っておくことが大切です。 ここでは、アルカリ電解水がどのようにして作られるのか、なぜ汚れに強いのかを解説します。

水を電気分解して作られる洗浄液

アルカリ電解水とは、水を電気分解することでアルカリ性にした洗浄液のことです。 水に電気を通すと、プラス極側に酸性の水、マイナス極側にアルカリ性の水が生成されます。 このマイナス極側で生成されたアルカリ性の水が、アルカリ電解水と呼ばれるものです。

液体の性質を数値化したものを「pH(ペーハー)」といい、pH7を基準として数値が小さければ酸性、大きければアルカリ性となります。 市販のアルカリ電解水は、家庭用でpH11〜12程度業務用でpH12.5〜13程度のものが一般的です。

アルカリ電解水の大きな特徴は、成分の99%が水であるという点です。 残りの1%は塩化ナトリウム(塩)などの補助剤で構成されており、一般的な洗剤に含まれる界面活性剤は入っていません。 そのため、「ナチュラルクリーニング」の代表的なアイテムとして注目を集めています。

酸性の汚れに強い理由

アルカリ電解水が汚れを落とす仕組みは、中和反応にあります。 アルカリ性の液体と酸性の汚れが混ざることで、互いの性質を打ち消し合う反応が起きるのです。

酸性の汚れには、以下のようなものがあります。

  • 油汚れ(キッチンのコンロ、換気扇など)
  • 手あか・皮脂汚れ
  • 食べこぼし
  • タバコのヤニ

アルカリ電解水は親水性が高いという特徴もあります。 これにより、頑固な油汚れの内部にまで浸透し、汚れを浮かせて落とすことができるのです。

また、マイナスイオンの働きも洗浄力に関係しています。 マイナスイオンが汚れの粒子を包み込み、素材の表面から引き離す作用があるため、こすらなくても汚れが落ちやすくなります。

アルカリ電解水のデメリット5選


便利なアルカリ電解水ですが、万能ではありません。 ここでは、購入前に必ず知っておきたい5つのデメリットを詳しく解説します。

使用できない素材・場所がある

アルカリ電解水の最大のデメリットは、使用できない素材や場所があることです。 誤って使用すると、変色・腐食・シミなどのトラブルを引き起こす可能性があります。

以下の表に、使用を避けるべき素材をまとめました。

素材・場所 使用できない理由
アルミニウム アルカリ性と反応して腐食する
銅・真鍮 変色や腐食の原因になる
ガラス 溶け出したり曇ったりする可能性がある
革製品 シミや変色が発生する
白木・無垢材 シミになりやすい
漆塗り製品 塗装が剥がれる
ニス・ワックス塗装面 コーティングが剥離する
大理石 表面が傷む
ゴム素材 劣化の原因になる

これらの素材に誤ってアルカリ電解水を使用してしまうと、元に戻すことが難しいケースがほとんどです。 使用前には必ず素材を確認する習慣をつけましょう。

アルミ・銅など金属製品への影響

アルミニウムや銅、真鍮といった金属は、アルカリ性に弱い性質を持っています。 アルカリ電解水を使用すると、化学反応によって腐食が進み、最悪の場合は穴があいてしまうこともあるのです。

たとえば、アルミ鍋の洗浄にアルカリ電解水を使い続けると、徐々に腐食が進行します。 気づいたときには鍋底に穴があいていた、というケースも報告されています。

また、真鍮製のドアノブや蛇口、銅製の調理器具なども注意が必要です。 これらの金属製品には、中性洗剤や専用のクリーナーを使用することをおすすめします。

革製品やニス塗装面への使用禁止

革製品にアルカリ電解水を使用すると、シミや変色が発生します。 革は動物の皮膚を加工したものであり、タンパク質で構成されているため、アルカリ性の液体と反応しやすいのです。

革製のバッグや財布、腕時計のベルト、革張りのソファなどには絶対に使用しないでください。 一度シミになってしまうと、専門のクリーニング業者でも完全に元に戻すことは難しいでしょう。

同様に、ニスやワックスでコーティングされた家具やフローリングにも注意が必要です。 アルカリ電解水を吹きかけると、コーティングが剥がれて表面がまだらになってしまいます。

塗装面に使用したい場合は、目立たない場所で事前にテストしてから使用するのが安全です。

車のボディには不向き

「車内の掃除にアルカリ電解水が便利」という情報を目にすることがありますが、車のボディには絶対に使用しないでください

車のボディには塗装やガラスコーティングが施されています。 アルカリ電解水を使用すると、これらのコーティングが剥がれてしまう可能性があるのです。

また、ボディに使用されているアルミニウム部分も腐食の対象となります。 窓ガラスに塗布されている撥水コーティングも剥がれてしまうため、視界不良の原因になりかねません。

さらに、タイヤにも使用禁止です。 ゴム部分の劣化や、ホイールに使われているアルミニウムの腐食を引き起こします。

車内のハンドルやダッシュボード、シートの掃除には活用できますが、ボディや窓ガラス、タイヤには使わないよう注意しましょう。

アルカリ性の汚れには効果がない

アルカリ電解水が落とせるのは酸性の汚れだけです。 同じアルカリ性の汚れに対しては、中和反応が起きないため効果がありません。

アルカリ性の汚れには、以下のようなものがあります。

  • 水アカ(浴室の鏡、蛇口など)
  • 石鹸カス(浴室の壁、洗面台など)
  • カビ
  • トイレの尿石

これらの汚れをアルカリ電解水で落とそうとしても、まったく効果がないどころか、時間と労力のムダになってしまいます。

アルカリ性の汚れには、酸性のクリーナー(クエン酸など)を使用するのが効果的です。 汚れの性質を見極めて、適切な洗剤を使い分けることが大切です。

泡立たず洗浄効果が見えにくい

アルカリ電解水のデメリットとして、泡立たないため洗浄効果が実感しにくいという点があります。

一般的な洗剤は泡が立つことで「汚れが落ちている」という実感が得られます。 しかし、アルカリ電解水には界面活性剤が含まれていないため、いくらスプレーしても泡は立ちません。

「本当にきれいになっているのかな?」と不安に感じる方も少なくないでしょう。 この点は、**「泡が立たない=すすぎがラク」**と捉えることもできます。

実際の洗浄効果を確認するには、拭き取った布の汚れ具合をチェックするのがおすすめです。 布が茶色や黒に変色していれば、しっかり汚れが落ちている証拠といえます。

肌や目への刺激リスクがある

アルカリ電解水は99%が水でできているため、一般的な洗剤よりも安全性が高いとされています。 しかし、完全に無害というわけではありません

特にpH12以上のアルカリ電解水は、アルカリ性が強いため注意が必要です。 人間の皮膚や粘膜はタンパク質で構成されているため、アルカリ性の液体と反応する可能性があります。

具体的なリスクは以下のとおりです。

  • 素手で長時間触れると肌荒れを起こす可能性がある
  • 目に入ると粘膜を傷める恐れがある
  • 口に入ると内臓に影響を与える可能性がある

万が一、目や口に入ってしまった場合は、すぐに大量の水で洗い流してください。 症状が改善しない場合は、眼科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。

安全に使用するためには、ゴム手袋の着用防護メガネの使用がおすすめです。

保管場所・期限に制限がある

アルカリ電解水は、保管方法を間違えると効果が薄れてしまうというデメリットがあります。

直射日光が当たる場所や高温の場所で保管すると、中性化が進んでしまいます。 中性化とは、アルカリ性の性質が徐々に失われ、ただの水に戻ってしまう現象のことです。

中性化が進むと、本来の洗浄力や除菌力を発揮できなくなります。 せっかく購入しても、使用期限よりも早く効果がなくなってしまう可能性があるのです。

アルカリ電解水の正しい保管方法は以下のとおりです。

  • 直射日光を避ける
  • 涼しい場所で保管する
  • 開封後は早めに使い切る

また、製品によって使用期限が異なりますので、購入時にボトルのラベルを確認しておきましょう。

デメリットを補うメリットも確認


ここまでデメリットを紹介してきましたが、アルカリ電解水にはデメリットを補って余りあるメリットも存在します。 正しく使えば、日々の掃除を格段にラクにしてくれる優れたアイテムです。

除菌・消臭効果が期待できる

アルカリ電解水の大きなメリットは、洗浄だけでなく除菌・消臭効果も期待できる点です。

pH12以上のアルカリ電解水は、さまざまな菌を不活化する効果があるとされています。 具体的には、以下のような菌やウイルスへの効果が報告されています。

  • インフルエンザウイルス
  • ノロウイルス
  • サルモネラ菌
  • O-157

キッチンの包丁やまな板の除菌に使用すれば、食中毒の予防にもつながります。 また、ニオイの原因となる菌を除去することで、消臭効果も得られます。

生ゴミ臭が気になるゴミ箱や、靴箱、ペット用品などにスプレーすることで、嫌なニオイを軽減できるでしょう。

ただし、pH12未満の製品では除菌効果が十分に得られない可能性があります。 除菌目的で使用する場合は、購入時に必ずpH値を確認してください。

二度拭き不要で家事の時短に

アルカリ電解水は界面活性剤を含まないため、使用後に泡やヌメリが残りません。 そのため、二度拭きをする必要がなく、家事の時短につながります。

一般的な洗剤を使用した場合、泡を完全に拭き取らないと跡が残ってしまいます。 とくにテーブルやキッチンカウンターなど、目立つ場所では二度拭きが欠かせません。

アルカリ電解水なら、汚れにスプレーして拭き取るだけでサラリとした仕上がりになります。 忙しい朝や、掃除の時間を短縮したい方にとって、大きなメリットといえるでしょう。

また、洗剤成分が残らないため、赤ちゃんやペットがいるご家庭でも安心して使用できます。 おもちゃやベビー用品の除菌にも活用できる点は、子育て世帯にとって嬉しいポイントです。

環境負荷が少なく安全性が高い

アルカリ電解水は環境にやさしい洗浄液としても知られています。

その理由は、アルカリ電解水が持つ自己分解性にあります。 排水として流しても、時間の経過とともに中和され、普通の水に戻るのです。

一般的な洗剤に含まれる界面活性剤は、河川や海に流れ込むと生態系に悪影響を与える可能性があります。 アルカリ電解水にはこうした成分が含まれていないため、環境への負荷を最小限に抑えられます。

また、成分の99%が水であるため、人体への安全性も高いとされています。 万が一、赤ちゃんやペットが舐めてしまっても、重大な健康被害が出る可能性は低いでしょう。

ただし、先述のとおりpH値が高い製品は刺激があるため、直接肌に触れたり目に入ったりしないよう注意が必要です。

デメリットを回避する正しい使い方


アルカリ電解水のデメリットは、正しい使い方を知っていれば回避できるものがほとんどです。 ここでは、安全かつ効果的に使用するためのポイントを解説します。

使用前に素材を必ず確認する

アルカリ電解水を使用する前に、対象物の素材を必ず確認してください。 これが、トラブルを防ぐための最も重要なポイントです。

使用を避けるべき素材は以下のとおりです。

  • アルミニウム・銅・真鍮などの金属
  • ガラス製品
  • 革製品
  • 白木・無垢材
  • 漆塗り・ニス塗り製品
  • ワックスがけされたフローリングや家具
  • 大理石
  • ゴム素材

素材がわからない場合は、目立たない場所で少量を試してから本格的に使用しましょう。 数分待っても変色や変質がなければ、安心して使用できます。

また、製品のラベルに記載されている使用上の注意をよく読むことも大切です。 メーカーによって推奨される使用方法が異なる場合があります。

ゴム手袋を着用して作業する

アルカリ電解水を使用する際は、ゴム手袋を着用することをおすすめします。

人間の皮膚はタンパク質でできているため、アルカリ性の液体と反応する可能性があります。 とくにpH12以上の製品を素手で長時間使用すると、肌荒れを起こすことがあるのです。

一度や二度触れただけで肌荒れが起きることは稀ですが、敏感肌の方長時間の掃除作業をする場合は注意が必要です。

もし素手で触ってしまった場合は、水で洗い流せば問題ありません。 ただし、ヌルヌルした感触が残る場合は、しっかりとすすいでください。

高い場所を掃除する際は、液体が垂れて目に入る可能性があります。 心配な方は、防護メガネを併用すると安心です。

直射日光を避けて冷暗所で保管する

アルカリ電解水の効果を長持ちさせるためには、正しい保管方法を守ることが重要です。

直射日光が当たる場所や、気温の高い場所で保管すると、中性化が進んでしまいます。 中性化が進むとアルカリ性の性質が失われ、ただの水と同じになってしまうのです。

正しい保管のポイントは以下のとおりです。

項目 推奨される保管方法
場所 直射日光の当たらない冷暗所
温度 常温〜涼しい場所
容器 遮光性のあるボトルが理想的
期限 開封後は早めに使い切る

製品によって使用期限が異なりますので、購入時にラベルを確認しておきましょう。 大容量の製品を購入した場合は、小分けボトルに移して使用するのも効果的です。

白い粉が残っても心配は不要

アルカリ電解水を使用した後、白い粉のようなものが残ることがあります。 これを見て「品質に問題があるのでは?」と心配になる方もいるかもしれません。

しかし、この白い粉はイオン成分が結晶化したものであり、まったく問題ありません。 アルカリ電解水に含まれる塩化ナトリウムなどの成分が、水分の蒸発とともに残ったものです。

白い粉が気になる場合は、乾いた布で拭き取るだけで簡単に除去できます。 決して使用期限が切れたわけではありませんし、洗浄効果が落ちたわけでもありません。

むしろ、白い粉が出るということは、きちんとアルカリ電解水として機能している証拠ともいえます。 安心して使用を続けてください。

重曹・セスキ炭酸ソーダとの違いと使い分け


アルカリ電解水以外にも、重曹やセスキ炭酸ソーダといったアルカリ性のナチュラル洗剤があります。 それぞれの特徴を理解して、上手に使い分けましょう。

洗浄力と用途の比較

アルカリ電解水、重曹、セスキ炭酸ソーダは、すべてアルカリ性の性質を利用して酸性の汚れを落とすという点で共通しています。 しかし、pH値や特性が異なるため、得意とする汚れや用途が違います。

項目 アルカリ電解水 セスキ炭酸ソーダ 重曹
pH値 11〜13程度 約9.8 約8.2
アルカリの強さ 強アルカリ性 弱アルカリ性 弱アルカリ性
洗浄力 最も強い 中程度 やや弱め
除菌効果 あり(pH12以上) なし なし
研磨作用 なし なし あり
特徴 二度拭き不要 水に溶けやすい 焦げ落としに最適

アルカリ電解水は、pH値が最も高く洗浄力に優れています。 pH12以上の製品であれば除菌効果も期待できるため、キッチン周りや除菌したい場所に最適です。

セスキ炭酸ソーダは、水に溶けやすいという特徴があります。 キッチンの油汚れだけでなく、衣類の襟袖の皮脂汚れを落とすのにもおすすめです。

重曹は、洗浄力では劣りますが研磨作用があります。 コンロの焦げ付きや鍋底のこびりつきなど、こすって落とす汚れに向いています。

自作できるアルカリ洗浄液の選択肢

アルカリ電解水は、専用の生成装置が必要なため家庭で自作することはできません。 しかし、セスキ水や重曹水は簡単に自作できます

セスキ水の作り方

  1. 水500mlを用意する
  2. セスキ炭酸ソーダを小さじ1杯入れる
  3. よくかき混ぜて溶かす
  4. スプレーボトルに入れて完成

セスキ炭酸ソーダは、スーパーや薬局、100円ショップで手軽に購入できます。 作ったセスキ水は、1〜2週間を目安に使い切りましょう。

重曹水の作り方

  1. 水500mlを用意する
  2. 重曹を小さじ1杯入れる
  3. よくかき混ぜて溶かす
  4. スプレーボトルに入れて完成

重曹はセスキ炭酸ソーダよりも溶けにくいため、ぬるま湯を使うと溶けやすくなります。

どちらもアルカリ電解水ほどの洗浄力はありませんが、軽い油汚れや日常的な拭き掃除には十分な効果があります。 コストを抑えたい方や、環境にやさしい掃除を心がけたい方におすすめです。

なお、セスキ水や重曹水もアルカリ電解水と同様に使えない素材があるため、注意してください。 アルミニウムや漆塗り製品、ワックスがけされた場所への使用は避けましょう。

まとめ


今回は、アルカリ電解水のデメリットと正しい使い方について詳しく解説しました。

アルカリ電解水には、以下の5つのデメリットがあります。

  1. 使用できない素材・場所がある(アルミ、革、ニス塗装面、車のボディなど)
  2. アルカリ性の汚れには効果がない(水アカ、石鹸カス、カビ、尿石など)
  3. 泡立たず洗浄効果が見えにくい
  4. 肌や目への刺激リスクがある
  5. 保管場所・期限に制限がある

これらのデメリットは、正しい知識と使い方を身につけることで回避できます。 使用前に素材を確認し、ゴム手袋を着用し、適切な場所で保管することが大切です。

一方で、アルカリ電解水には除菌・消臭効果二度拭き不要の手軽さ環境へのやさしさといった大きなメリットがあります。 デメリットを理解したうえで正しく使えば、日々の掃除を格段にラクにしてくれる心強いアイテムです。

重曹やセスキ炭酸ソーダとの使い分けも意識しながら、それぞれの特性を活かした掃除を実践してみてください。 あなたの暮らしがより快適になることを願っています。

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